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2017/09/27 14:07
こんにちは。
小さな箱屋 Little Ants' Cube リトルアンツキューブです。
今日は、よく市場で見られる代表的な箱の形式をいくつかご紹介します。
よく使われるということは、選ばれやすいメリットがあるからです。
そのあたりを紙器設計士の目からご説明していきたいと思います。
箱を作る際の参考になれば幸いです。
まず最初はこちら。
▼サック箱(キャラメル箱)
箱の形式名というのは業界でも統一されてないことがあり、
ある会社で「●●」と呼ばれていても別の会社では「◆◆」だったりするのですが、
サック箱(キャラメル箱)というとどこでも通用します。
どちらかで呼ばれているようです。
胴体の部分が貼られていて、底とフタを差し込むような形です。
ここで一つ説明を入れておきます。
箱を機械で製造する際の工程はざっくりですが、
①印刷する
②打ち抜く(箱の形に紙を切り抜く)
③製函する(貼り合わせる)
この3つです。
①と③はないこともありますが、②はどんな箱でも必ずある工程です。
この工程が多ければ多いほど、高い箱になるわけです。
①の印刷のない無地箱であったり、③の貼りのない抜きっぱなしの箱にすることで、
コストを下げることが出来ます。
このサック箱に関しては、②と③がある形式です。
胴体が貼られていなければ、箱にはなりません。
③を含むということはコストが高いのかというと、
実は展開図にすると小さい場合が多いので使用する紙の量が少なくすみ、
また「胴貼り」は機械生産スピードが非常に早くできる貼り方ですので、
トータルで見ると安く作れることが多い箱です。
次の箱を見てみましょう。
▼C式箱(蓋・身式箱、C式トムソン箱)
形式名は業界でも様々。
「C式」というのはこのように、フタと身箱に分かれた形状の箱の総称です。
先ほどのサック箱は分かれていないので「B式」に入ります。
「A式」は段ボールケースのことを言います。
組み立てると側面が二重になり、箱の仕上がりがしっかりとして強度が出るので高級感のある箱です。
②の打ち抜く工程だけで作れる箱ですので、コストも安く済む場合が多いです。
展開図で見ますと紙の使用量は先ほどのサック箱に比べて多くなりますので、
紙の価格によってはC式の方が割高なこともあります。ケースバイケースですね。
続いてこちら。
▼地獄底
底の形に特徴のある形式です。
「地獄」の由来、蟻地獄だと思っていたのですが調べますと、
一度組んだら底が抜けない、抜け出せない→地獄→地獄底だそうです。
サック箱は差し込むだけでしたが、このように組むことで底抜けを防止出来ます。
サック箱と同様に、胴体部分に貼りがあります。
展開しますとサック箱よりも紙の使用量が少なくなることもあります。
コスト面というよりも、底抜けのしにくさでこの箱を選ぶことが多いです。
組み立ては複雑そうに見えますが、
このように順番に折り畳み、最後に真ん中に押し込むだけですので
簡単に組みあがります。
ちなみに、組む前はこのようにたたんであります▼
底面が美しくないので、
ディスプレイ時に底面が見えるという場合には、サック箱の方が良かったりします。
(サック箱はどちら側から見ても比較的綺麗です。)
続いてこちら。
▼B式トムソン箱(単にB式とだけ呼ばれることも)
フタと身箱が分かれていないB式で、かつ③の貼り合わせ加工を必要としない形式です。
このように、腕組したりして立体を形成します▼
高さの低い箱を作りたい時によく選ばれます。
どうしても、高さが低いと箱の展開が横長になり、胴体を貼るような加工が難しくなります。
展開も少なくすみ、貼り加工もいらないのでコストは安いですが、その分少し組み立て作業が多くなります。
最後にこちら▼
ピローケース(Fケース)
文字通り、枕のような形状の箱です。
板紙の箱で曲線を表現するのは難しいのですが、この箱は見た目がかわいらしく、
ギフト箱などでよく選ばれます。
このように胴体を貼り合わせます。
紙の使用量が少ない展開で、貼り工賃も安い胴貼りです。組み立ても簡単▼
内容物の形が洋服など、あまり定まっていない、壊れにくいものの方が向いています。
商品によっては中で動いてしまい、損傷してしまうかもしれません。
いかがでしたでしょうか。
まだまだ形式はたくさんあるのですが、
特にリトルアンツキューブで作られやすい、
小ロットで作りたい方向けの、安めの箱をご紹介しました。
組み立てを簡単に、ワンタッチにするためには貼り加工が複雑な形式を用いますが、
量産する場合の方が向いています。
量産を前提とした小ロット試作であれば、喜んで複雑な貼りの形式もお作りしますので、
お気軽にご相談ください。
形式を選んで20個の試作を作ることができるサービスをお作りしました。
ぜひお試しください。